室内の明るさに合わせてページ背景の明るさを調整してください。


O-06 超音波で非典型的な画像所見を呈したSolid-pseudopapillary neoplasmの1例

與那嶺 圭輔1)、越田 真介1)、伊藤 啓1)、菅野 良秀1)、小川 貴央1)、楠瀬 寛顕1)、枡 かおり1)、岡田 恭穂2)、及川 昌也2)、野田 裕3)、澤井 高志3)
仙台市医療センター・仙台オープン病院 消化管・肝胆膵内科1)、同 消化器外科・一般外科2)、同 病理部3)


症例は47 歳男性.他院健診のUS で膵尾部に15mm 大の腫瘤を認め,精査目的に当院紹介となった.US では脾門近傍に15mm 大の境界明瞭で内部高エコー,周囲低エコーを呈する腫瘤を認めた.同腫瘤は単純CTで内部に点状の石灰化を確認でき,造影CT で境界明瞭な遅延性濃染を示した.MRI ではT1WI でやや低信号,T2WI でやや高信号,DWI で拡散能の低下を認めた.MRCP では主膵管の拡張や閉塞は認めなかった.EUS では膵尾部に比較的境界明瞭で内部中心に大部分が高エコー,周囲が低エコーを示す腫瘤を認め,高エコー領域の一部には石灰化を示唆する音響陰影がみられた.超音波所見は非典型的だがsolid-pseudopapillaryneoplasm (SPN) やneuroendocrine neoplasm(NEN) を疑い,確定診断のためEUS-FNA を施行した.HE 染色では小型類円形核を持つ異型細胞塊が血管を軸とした偽乳頭状構造を認めSPN を強く疑うも,免疫染色でβ- カテニンは陰性のため確定診断には至らなかった.以上よりSPN またはNEN を疑い,腹腔鏡下膵体尾部切除術および脾臓合併切除術を施行した.切除標本では膵尾部に15 × 11mm の境界明瞭な黄白色の腫瘍を認め,組織像では腫瘤は辺縁部を中心に異型細胞で構成され,中心部は大部分が間質で占められ,この両者の境を中心に泡沫細胞が散見していた.切除標本の免疫染色ではβ - カテニンは核内陽性であり,SPN と最終診断した.本症例の超音波画像と組織像との相関性についてご討議いただきたい.