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O-08 同時性多発胆管癌の一例

森田 慎一1)、星 隆洋1)、阿部 聡司1)、八木 一芳1)、須田 剛士1)、長谷川 剛2)、岩崎 寿光3)、岸 庸二3)、平岡 伸介4)、寺井 崇二5)
新潟大学地域医療教育センター 魚沼基幹病院 消化器内科1)、新潟大学地域医療教育センター 魚沼基幹病院 病理科2)、防衛大学医科学校 外科3)、国立がん研究センター中央病院 分子病理学分野4)、新潟大学医歯学総合研究科 消化器内科学分野5)


69 歳男性。食思不振を主訴に受診。肝胆道系酵素の上昇、MRC にて肝門部領域胆管(Bp) および遠位胆管(Bd)の2箇所に狭窄を認めた。〔Bp〕胆管内を充満する結節状腫瘍を認めた。造影CT では正常胆管に比し早期で高吸収、平衡相で同程度に造影された。〔Bd〕胆管壁の不整肥厚を認めた。EUS にて膵浸潤所見を認め、造影CT では遷延性に造影され平衡相で正常胆管より高吸収に造影された。胆管癌の多発病変と診断し、拡大肝右葉合併膵頭十二指腸切除術を行なった。【病理所見】〔Bp〕45mm 大の境界明瞭な結節隆起病変を認め、組織所見では乳頭状から管状構造を呈する中分化型管状腺癌であった。免疫組織染色(IH)ではMUC1 陽性、MUC5AC/CDX2/CD10 弱陽性、MUC2/MUC6 陰性、p53 陽性細胞を散在性に認めた。〔Bd〕35mm 大の胆管壁肥厚を認め、組織所見は胞巣状から充実性に浸潤する低分化型腺癌であった。IH ではMUC1/CDX2 陽性、MUC5AC 弱陽性、MUC2/MUC6/CD10 陰性、p53 陽性細胞を散在性に認めた。病変間に連続は認めず、結節膨張型の肝門部領域胆管癌、平坦浸潤型の遠位胆管癌の同時性多発癌と診断した。腫瘍組織より抽出したTP53 遺伝子に対するPCR-SSCP 解析を行いexon5 領域にてBp 病変にBd 病変と異なる変異型アリルを認め重複癌と診断した。【討論いただきたいポイント】①両病変の形態分類、組織所見から考えた画像所見の特徴。② IH の結果解釈、胆管癌における粘液形質染色の意義。