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PS-2 (O-11) 総胆管に進展・浸潤を認めた胆嚢管原発のintracholecystic papillary and tubular neoplasm (ICPTN) の一例

青木 修一1)、青木 泰孝1)、中川 圭1)、森川 孝則1)、菅野 敦2)、元井 冬彦1)、内藤 剛1)、亀井 尚1)、正宗 淳2)、古川 徹3)、海野 倫明1)
東北大学大学院 消化器外科学分野1)、東北大学大学院 消化器病態学分野2)、東北大学大学院 病態病理学分野3)


【症例】83 歳男性【現病歴】胃ESD 後のフォローCT で胆管に異常所見を認め、精査目的に当院紹介となった。【術前検査】CT では、遠位胆管及び胆嚢管に造影効果を有する隆起様腫瘤像を認めた。MRI ではT2 low でADC 低値の腫瘍を認め、PET 検査では腫瘍に一致してSUVmax27.4 の異常集積を認めた。ERC では遠位胆管に結節浸潤の腫瘤を認め、胆嚢管は造影されず、擦過細胞診でadenocarcinoma の診断となった。EUS では遠位胆管の腫瘍は、腫瘍表面が高エコーを呈したのに対し内部が低エコーを示し、ss の深達度と考えられ、肝門側への水平浸潤も疑われた。【診断及び手術】胆嚢管癌及び下部胆管癌の重複癌の診断で亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行し、第28 病日に退院となった。【病理診断結果】肉眼的に病変は、胆嚢管を主座とする35 × 10 mm の充実性白色腫瘤と下部胆管を主座とする44 × 25 mm の弾性軟白色腫瘤であった。病理組織学的評価では、胆嚢管に発生した乳頭状病変主体の腫瘍は、総胆管内に連続性に移行しており、下部胆管では管状成分主体の腫瘍でss 浸潤を伴っていた。免疫組織学的評価ではMUC1/MUC5/MUC6 が、両方の病変で全て陽性であり、p53 は胆嚢管病変ではまだらに陽性、総胆管病変では発現の増強を認めた。【考察】胆嚢管に発生したICPTN が下部胆管に連続して進展し、下部胆管では浸潤傾向を示す腫瘤として認められた症例を経験したので報告する。