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PS-4 (O-13) 3D CTによる膵実質萎縮の評価が進展範囲診断に有用であった8mm膵癌の1例

山雄 健太郎1)、三長 孝輔1)、竹中 完1)、樫田 博史1)、松本 逸平2)、竹山 宜典2)、鶴崎 正勝3)、前西 修4)、筑後 孝章4)、工藤 正俊1)
近畿大学病院 消化器内科1)、近畿大学病院 肝胆膵外科2)、近畿大学病院 放射線科3)、近畿大学病院 病理診断科4)


症例は73 歳、男性。既往に十二指腸腺腫、脳梗塞、嗜好は飲酒ビール1 缶/ 日、喫煙20 本/ 日× 50 年。2018年8 月に急性膵炎にて入院し、保存加療にて軽快。膵炎の原因精査目的で行ったMRCP では膵体部に40mmの主膵管狭窄と尾側膵管拡張あり。膵管癒合不全もあり。造影CT ではMRCP 同様の膵管所見で、同部に腫瘤は指摘し得ず。また主膵管狭窄部に膵実質萎縮を認めた。3D CT 画像解析システムにより膵実質を立体構成し、その形態評価を行うと頭体移行部を中心に長さ50mm の実質萎縮がより明瞭となった。EUS では主膵管狭窄の中心に7mm の低エコー腫瘤と尾側膵管拡張あり。EUS-FNA は血管介在のため不可で、ERCP を施行。ERP圧造影では体部に30mm におよぶ主膵管狭窄と膵管壁硬化像を認め、尾側膵管拡張も伴っていた。SPACE にて疑陽性の結果であり、小膵癌を疑い手術の方針とした。EUS にて腫瘤を指摘したが、併存する主膵管狭窄からCIS 進展を疑った。また癌は主膵管狭窄または膵実質萎縮にある程度一致すると考えた。術前の3D CT の膵実質萎縮の検討から術式はPD とし、尾側端は実質萎縮部を範囲に含め切除。マクロでは8mm の浸潤癌と、これを中心に55mm のCIS 進展を認めた。病理学的な実質萎縮はCIS の進展範囲にほぼ一致していた。主膵管狭窄は40mm で尾側拡張膵管上皮にも連続性にCIS を認めた。最終診断はT1(T1b)N0M0 Stage I 膵癌。本症例は進展範囲診断に3D CT による膵実質萎縮の評価が有用であったと考える。