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PS-5 (O-14) IPMNに併存した多発早期膵癌の一例

横出 正隆1)、花田 敬士1)、奥田 康博1)、矢野 成樹1)、池田 守登1)、栗原 啓介1)、清水 晃典1)、安部 智之2)、天野 尋暢2)、米原 修治3)
JA 尾道総合病院 消化器内科1)、同 外科2)、同 病理研究検査科3)


症例は78 歳女性。膵体部と尾部に存在する分枝型IPMN に対して近医でフォローされていたが、20XX 年4月に腹部超音波検査にて主膵管拡張を認めたため精査加療目的に当院紹介となった。腫瘍マーカーはCEA,CA19-9 ともに基準範囲内であった。造影CT、MRCP では、膵体尾部のIPMN 間で主膵管狭窄を認め、その尾側膵管が5mm に拡張していた。主膵管狭窄部では実質の限局的萎縮を認めたが、明らかな腫瘤性病変は指摘できなかった。EUS では主膵管の狭窄部周囲に低エコー像を認めるも明らかな結節影は指摘できなかった。ERP では、主膵管の狭窄部は途絶しておらず、尾側の主膵管拡張も確認できたがIPMN は一部しか造影されなかった。ENPD を留置しSPACE を施行したところ7 回中3 回でClassV, adenocarcioma が確認された。IPMN 併存膵癌(cTisN0M0 Stage0) と術前診断し、膵体尾部切除術を施行した。病理組織学的検査では術前の画像検査で確認された主膵管狭窄部にはPanIN3 病変を認めていたが、膵野に12mm, 12mm, 8mm 大の連続性を認めない多発の浸潤性膵管癌が指摘されいずれもStageIA の診断であった。膵体尾部の分枝型IPMNはいずれもhigh grade dysplasia と診断された。本症例の最終診断の妥当性、術前検査で病変が評価可能であったかどうか、今後の残膵に対しての今後の経過観察方法に関して検討いただきたい。