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PS-6 (O-15) AIP経過観察中に膵実質萎縮部に出現を認めた膵癌の一例

出雲崎 晃1)、井上 大1)、米田 憲秀1)、小林 聡1)、蒲田 敏文1)、山田 真也2)、吉村 かおり3)、池田 博子3)
金沢大学附属病院 放射線科1)、金沢大学附属病院 消化器内科2)、金沢大学附属病院 病理部3)


症例は80 歳台男性.X 年肝機能障害を認め,精査にて膵にcapsule-like rim を伴うびまん性の腫大,IgG4 高値を認めたことより自己免疫膵炎と診断.その際全身検索施行され顎下腺の腫大,大動脈周囲にも膵外病変を認めた.当院内科にてステロイド内服治療を受け,速やかに膵腫大は改善あるも,膵実質は自己免疫膵炎発症以前より全体的に軽度萎縮を認めた.経過にてIgG4 は依然として高値で推移したが,画像上明らかな再燃疑う所見を認めなかった.さらに経過観察されたところ膵実質に限局性萎縮が目立つ領域の出現があり,同部には嚢胞構造,脂肪抑制T1 強調像にて低信号を認めた.その後,X+10 年に施行された腹部CT にて上述限局萎縮領域に限局的な腫大,末梢主膵管拡張の出現を認めた.IgG4 は149mg/dL と高値を示しており自己免疫膵炎の増悪が疑われたが,追加で施行された腹部ダイナミックCT にて,経過にて萎縮が目立っていた領域に動脈相にて低吸収,漸増性に濃染する腫瘤を認めた.同腫瘤は後期相でも不均一な濃染を示した.MRCP では腫瘤部で主膵管の途絶を認めた.このため自己免疫膵炎の再燃よりも膵癌が疑われ,EUS-FNA施行され腺癌と診断された.自己免疫膵炎はステロイド治療後に膵萎縮をきたすことが知られているが,一方で膵癌に先行して限局的な膵実質の萎縮をきたすことも近年報告されている.経過にて出現した膵実質の萎縮に関してどのように解釈すべきかをご討論いただきたい.