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PS-7 (O-16) 急性膵炎を契機に発見された膵管内小腫瘤の1例

石井 達也1)、金 俊文1)、林 毅1)、高橋 邦幸1)、高田 実2)、安保 義恭2)、篠原 敏也3)、潟沼 朗生1)
手稲渓仁会病院 消化器病センター 内科1)、手稲渓仁会病院 消化器病センター 外科2)、手稲渓仁会病院 病理診断科3)


症例は85 歳男性、急性膵炎の診断にて当センターに入院となる。造影CT にて膵管の軽度拡張および膵周囲の炎症所見を認めるも、膵管の閉塞起点の指摘は困難であった。膵炎は保存的治療にて軽快し、原因精査目的にMRCP を撮像したところ、膵頭部膵管の軽度拡張および分枝拡張を認め、乳頭部近傍の膵管内に陰影欠損を認めた。側視鏡観察にて乳頭部は軽度腫大していたが、明らかな腫瘤の露出や膵管開口部の開大は認めなかった。EUS では、乳頭部近傍の主膵管内に造影効果を伴う低乳頭状の隆起性病変を認めた。また、EUS上明らかな乳頭部腫瘤を認めないこと、隆起性病変と乳頭部の間にわずかな無エコー域が介在することから、病変の主座は膵管内にあると考えた。ERP では、膵頭部膵管の限局性拡張および乳頭部近傍に陰影欠損を認めたが、明らかな粘液透亮像は認めなかった。IDUS では、膵管内を充満する隆起性病変を認めるも膵実質や十二指腸への浸潤を示唆する所見は認めなかった。同部位からの生検にて癌細胞を検出し、細胞形態からはIPMN も否定できないという病理結果を得たため、主膵管型IPMN(high grade dysplasia) の診断にて亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行。病理組織学的には、乳頭合流直前の主膵管内に増生するIPMN highgrade dysplasia(MUC1 陰性、MUC2 陰性、MUC5AC 陽性、MUC6 陽性) であり、乳頭部膵管および尾側主膵管にも一部進展するが、明らかな浸潤所見を認めなかった。