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O-18 画像上特殊な経過をたどった膵癌の一例

谷口 隆之1)、大塚 隆生1)、渡邉 雄介1)、森 泰寿1)、池永 直樹1)、仲田 興平1)、松田 諒太2)、古賀 裕2)、小田 義直2)、中村 雅史1)
九州大学大学院医学研究院 臨床・ 腫瘍外科1)、九州大学病院 形態機能病理学2)


症例は77 歳、女性。健診で膵尾部の分枝型IPMN を指摘され、以後半年ごとにMRI で経過観察されていた。当初は画像上典型的な分枝型IPMN と考えていたが、1 年後のMRI で嚢胞は縮小し、2 年後には消失し瘢痕状の結節に変化した。さらに2 年6 カ月後にはT1 強調高信号域が出現し、3 年後には高信号域の増大と同部位の膵管閉塞と尾側膵管の拡張所見を認めた。EUS では膵尾部に17mm 大の辺縁不整な乏血性低エコー腫瘤を認め、腫瘤から尾側の主膵管は3mm に拡張していた。膵実質の萎縮はなく、周囲に嚢胞成分も認めなかった。ERCP では尾側膵管の途絶を認めた。膵液および膵管擦過細胞診はClass III であったが、IPMN 由来膵癌を疑って膵体尾部切除術を施行した。最終病理診断は浸潤性膵管癌で、癌に関連する嚢胞成分を認めなかった。病変の膵頭側にlow-grade PanIN を認めたが、浸潤癌との移行像を認めず、またIPMN 由来膵癌を支持する所見も認めなかった。画像上特殊な経過をたどった膵癌症例を経験したので報告する。