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O-19 主膵管多発狭窄を呈した膵管上皮内病変

桒谷 将城1)、三橋 智子2)、加藤 新1)、浅野 賢道3)、中村 透3)、平野 聡3)、坂本 直哉1)
北海道大学病院 消化器内科1)、北海道大学病院 病理部/病理診断科2)、北海道大学病院 消化器外科II3)


症例は81 歳女性.7 年前にCT にて約4mm の主膵管拡張がみられたが,超音波内視鏡検査(EUS)では明らかな腫瘤像はみられなかったため,以後画像検査による経過観察を行っていた.2 年前より主膵管径が8mm となり,EUS による再精査をおこなったが,膵実質および主膵管内にはあきらかな異常所見はみられなかった.2 ヶ月前の腹部US において主膵管径が8.9mm に拡張し,膵体部主膵管内に隆起性病変が疑われたため,精査目的に内視鏡的逆行性膵管造影を施行した.主膵管は頭部と体部で多発性狭窄を呈し,膵頭部の主膵管最狭窄部からのブラシ細胞診を行ったところ,異型細胞(腺癌疑い)が検出されたため,膵頭部癌の診断で膵頭十二指腸切除を施行した.切除標本による膵管造影では,膵頭部から頭体移行部にかけて多発性の狭窄を呈し,病理所見では断端主膵管と乳頭部近傍の分枝膵管内に上皮内癌(PanIN-3),その両者間の分枝膵管内にPanIN-1 病変がみられた.多発性主膵管狭窄は主に線維性間質の増生に伴うものであった.画像上,悪性化を示唆する間接所見がみられるのかどうか,議論したい.