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O-20 非典型的な画像所見を呈し術前診断に苦慮した肝内胆管癌の 1 例

柴原 有1)、高橋 進一郎1)、小林 達伺2)、小嶋 基寛3)、黒崎 弘正4)、杉本 元一1)、小林 信1)、小西 大1)、後藤田 直人1)
国立がん研究センター東病院 肝胆膵外科1)、国立がん研究センター東病院 放射線診断科2)、国立がん研究センター東病院 病理診断科3)、JCHO 東京新宿メディカルセンター 放射線治療科4)


症例は50 歳代男性。B 型肝炎の既往あり。前医で胆石胆嚢炎に対して胆嚢摘出術施行するも、CA19-9200.5U/ml と高値であり、腹部精査により肝S4 に29mm 大の嚢胞性腫瘤を指摘され、当院紹介。US、CTおよび MRI では、境界明瞭な多房性嚢胞性腫瘤であった。MRI のT2 強調画像にて低信号と高信号が混在しており、積極的に悪性を疑う所見に乏しく、出血性嚢胞として経過観察の方針とした。6 か月後の検査で、腫瘤は増大しており嚢胞周囲に充実成分の出現を認め、充実成分に一致してPET 検査でFDG の集積を認めた。腫瘍周囲の胆管拡張像を認めず、非典型的な肝内胆管癌と診断し、手術の方針。肝左葉尾状葉切除および肝外胆管切除術を施行した。術後8 日目、経過良好につき退院。切除検体は肉眼的に境界不明瞭な白色調、内部嚢胞形成を伴う八頭状の60 × 50 × 35mm 大の腫瘍で、胆管との交通や胆管の途絶を認めなかった。腫瘍内部に壊死と伴に、10 mm大の嚢胞を複数認め、内部に粘稠な液体成分を認めた。組織学的に、乳頭状構造、不規則な管状構造、篩状構造を呈す中分化型腺癌が主体で、嚢胞成分も癒合腺管を伴う悪性上皮に裏打ちされ、正常胆管との交通は認めなかった。最終病理診断は肝内胆管癌、T3, N0, M0, Stage III, vp1, vv1, b1( 原発性肝癌取扱規約第6 版) であった。【検討事項】本症例は胆管と交通しない特徴的な嚢胞構造を伴っており、画像所見と病理学的所見を含めた総合的な考察が必要と考える。