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O-21 EOB-MRI肝細胞相で等〜高信号を呈したbeta-catenin 活性化inflammatory hepatocellular adenomaの一例

米田 憲秀1)、小坂 康夫1)、北尾 梓1)、井上 大1)、小林 聡1)、中沼 伸一2)、田島 秀浩2)、太田 哲生2)、堀井 里和3)、佐々木 素子4)、蒲田 敏文1)
金沢大学附属病院 放射線科1)、金沢大学附属病院 肝胆膵・移植外科2)、金沢大学附属病院 消化器内科3)、金沢大学大学院医薬保健学総合研究科・医薬保健学域医学類 人体病理学4)


症例は34 歳男性、健康診断で偶発的に肝腫瘤を指摘された。既往歴、服薬歴に特記事項(-)、喫煙歴(-)、飲酒歴は機会飲酒程度、BMI は22.9。血液検査所見では、CRP、PIVKAII の軽度高値を認めた。肝炎ウイルスマーカーは陰性であった。画像上、肝右葉S8/5 に6cm 大の腫瘤を認めた。超音波検査では腫瘤は内部不均一な高エコーを呈した。単純CT では腫瘤は内部に不均一な強い低吸収域を認めた。ダイナミックCT では早期相で不均一に濃染し、後期相ではwashout を呈した。MRI ではout of phase では不均一な信号の低下部位を認め、in phase でも信号低下部が散見された。腫瘤は脂肪沈着部や出血部以外はT1 強調像で背景肝より高信号、T2 強調像、拡散強調像でほぼ等信号、肝細胞相では等〜高信号を呈した。PET-CT ではFDG の集積は認めなかった。画像上、肝細胞腺腫、肝細胞癌、限局性結節性過形成が鑑別に上がり、手術が施行された。病理では肝細胞に異型は目立たず、脂肪沈着、類洞拡張、炎症細胞浸潤、細胆管増生が認められた。免疫組織化学にてSerum amyloid A、Glutamine synthetase がびまん性に陽性であり、beta-catenin 活性化inflammatory hepatocellular adenoma(I-HCA) と病理診断された。肝細胞腺腫は稀な肝細胞性良性腫瘍で近年亜分類が提唱されているが、beta-catenin 活性化I-HCA の頻度は少なく、その画像所見の詳細も未だ不明である。 術前に肝細胞癌を否定できたかどうかにつきご討議頂きたい。