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O-22 興味ある進展形式を示したIPNBの1例

山田 淳貴1)、薮下 泰宏1)、清水 康博1)、中山 岳龍1)、三宅 謙太郎1)、本間 祐樹1)、熊本 宜文1)、松山 隆生1)、梅田 茂明2)、遠藤 格1)
横浜市立大学附属病院 消化器・腫瘍外科1)、横浜市立大学附属病院 病理診断科2)


症例は66 歳、男性。発熱、腹痛を主訴に前医受診した。CT で肝S6 を中心とした多房性嚢胞性病変を認め、感染性肝嚢胞の診断で穿刺ドレナージ術を施行された。穿刺液の細胞診はClass I だった。一時的に改善するも再発を繰り返し、4 回のドレナージが施行された。経過中に炎症に伴うと考えられる、中肝静脈から下大静脈内へ伸びる血栓形成を認めた為、切除術目的に当院紹介となった。当院受診時の血液検査では、炎症反応、腫瘍マーカーは陰性だった。CT で肝S6 に多房性嚢胞と内部の小石灰化、末梢胆管の拡張を認めた。抗凝固療法により中肝静脈の血栓は消失したが、下大静脈内に疣贅様の血栓は残存した。MRI では嚢胞内部に不整な充実成分を認めた。以上より、IPNB・感染性肝嚢胞を鑑別に、門脈塞栓術施行後に肝右葉切除術+下大静脈血栓除去術を施行した。術中エコーでは、嚢胞内の充実成分と、胆管との交通を認めた。術中迅速診断では、嚢胞内腫瘍は上皮内癌の診断、IVC 血栓内には浮遊する類似した腫瘍細胞を認めた。経過は良好で9 日目に合併症なく退院した。術後病理組織学的診断は、後区域門脈、右肝静脈本幹に浸潤を認めるIPNB 由来の肝内胆管癌であった。今回、我々は術前診断が困難かつ興味ある進展形式を示した肝嚢胞性病変の1 例を経験したため、文献的考察を含めて考察する。【検討事項】・肝嚢胞性病変の術前診断について・腫瘍血栓の進展形式について