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O-23 胆嚢管断端に発生した腫瘤の1例

髙橋 孝輔1)、安田 一朗1)、小林 才人1)、長田 巧平1)、二日市 有花1)、圓谷 俊貴1)、田尻 和人1)、野口 映2)、井村 譲二2)
富山大学大学院 医学薬学研究部 内科学第三講座1)、富山大学大学院 医学薬部 病理診断学講座2)


症例は76 歳男性。20 歳時胆嚢結石にて開腹下胆嚢摘出術の既往あり。近医より十二指腸乳頭部腺腫精査目的のEUS を依頼され当科受診となった。来院時血液検査では、肝胆道系・膵酵素の上昇はみられず、腫瘍マーカーも正常であった。EUS では乳頭部腺腫の胆管内・主膵管内への進展はみられなかったが、遺残胆嚢管がびまん性に拡張しており、その断端に14mm 大の類円形腫瘤を認めた。腫瘤内部はほぼ均一な低エコーで、内腔側表面を薄い高エコー層が縁取っていた。また、ソナゾイド造影では比較的早期から腫瘤全体の濃染を認めた。造影CT でも胆嚢管断端に漸増性の造影効果を有する半球状腫瘤を認めた。MRI では腫瘤はT1 強調像でやや高信号、T2 強調像で低信号、拡散強調像では拡散制限を認めなかった。胆嚢管断端神経腫を疑うも胆嚢管癌を否定できず、次に経口胆道鏡検査(POCS)を行った。POCS では、胆嚢管断端に正常上皮に覆われた粘膜下腫瘍様のドーム状隆起を認め、引き続き直視下生検を行ったが診断には至らなかった。このため次いでEUS-FNA を行ったところ、病理組織所見において紡錘形細胞の束状増生が確認でき、免疫組織染色でS-100、GFAP 陽性であったことから、遺残胆嚢管切除断端に発生した断端神経鞘腫と診断した。【討論のポイント】1)EUS での表面高エコーは粘膜層+ 境界エコー、すなわち本症を疑う所見と考えてよいか?2)病理診断は神経腫ではなく、神経鞘腫でよいか?