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O-24 下部胆管に原発した癌肉腫の1例

南 宏典1)、田島 秀博1)、真橋 宏幸1)、中沼 伸一1)、牧野 勇1)、宮下 知治1)、二宮 致1)、伏田 幸夫1)、池田 博子2)、蒲田 敏文3)、太田 哲生1)
金沢大学 消化器・腫瘍・再生外科学1)、同 形態機能病理学教室2)、同 放射線科学3)


【緒言】同一腫瘍内に上皮由来成分と間葉系由来成分を併せ持つ腫瘍を癌肉腫と呼ぶが,肝外胆管に発生する癌肉腫はまれである.今回,我々は下部胆管原発の癌肉腫の症例を経験したので報告する.【症例】79 歳,女性.食思不振を主訴に近医を受診した.血液検査で肝胆道系酵素上昇及び炎症反応上昇所見を認めたが,CEA,CA19-9, DUPAN-II は基準値内であった.造影CT 検査で膵内胆管の造影効果を伴う壁肥厚及び狭窄を認め,肝内胆管拡張を認めた.内視鏡的逆行性胆管ドレナージを行い,その際に施行した下部胆管からの生検でadenocarcinoma, tub2-por1 の診断を得たため,当院紹介となった.IDUS では中部胆管より乳頭状に腫瘍の発育を認め,中部〜下部胆管で腫瘍による狭窄を認めた.PET-CT 検査では,膵内胆管および#12a/#8pリンパ節にFDG の異常集積を認めた.以上より下部胆管癌の診断で亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を行った.病理組織学的検査では遠位胆管で胆管内腔へのポリープ状の腫瘍増生を認め,同部位で腺癌と肉腫性分が混在する癌肉腫像を認めた.最終診断はBd, 35mm, carcinosarcoma, int, INFb, ly2, v1, ne2, pHM0, pEM0,pPV0, pA0, pT2, pN0, pStage IB であった.術後,Grade B の膵液瘻を認めたがドレナージにより改善し,術後140 日で退院した.術後5 か月現在,無再発生存中である.【討論のポイント】胆管原発癌肉腫の病理学的特徴と,術前画像所見の対比を検討したい.