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O-25 胆嚢Mixed adenoneuroendcrine carcinomaの1例

佐野 貴紀1)、菅野 敦1)、三浦 晋1)、林 洋毅2)、益田 邦洋2)、海野 倫明2)、大森 優子3)、藤島 史喜4)、古川 徹3)、正宗 淳1)
東北大学大学院 消化器病態学分野1)、東北大学大学院 消化器外科学分野2)、東北大学大学院 病理形態学分野3)、東北大学大学院 病理診断学分野4)


【症例】60 歳 女性。【現病歴】X 月に左乳癌と診断された。乳癌精査中に施行されたFDG-PET にて胆嚢に集積を認め、胆嚢癌が疑われ当院を紹介された。腫瘍マーカーはDUPAN-2 (4975 U/ml) とSPan-1 (44.5 U/ml) が上昇していた。超音波内視鏡では胆嚢内腔に充満する腫瘍と合流異常が認められた。造影CT, MRI では胆嚢内腔に造影効果を伴う腫瘍を認め、肝門部リンパ節転移、肝床浸潤が疑われた。ERCP では長い共通管が認められ、胆嚢管は途中から途絶し胆嚢内腔は造影されなかったが、総胆管への浸潤は認められなかった。胆管内胆汁中アミラーゼは40106 IU/l と高値であったが、胆汁細胞診はclass Ⅰであった。膵胆管合流異常に伴う胆嚢癌が疑われた。X + 4 月に左乳房全摘術、X+7 月に胆嚢摘出、胆嚢床切除、D2 リンパ節郭清を施行した。切除標本で胆嚢底部から胆嚢管の内腔まで全周性に乳頭状の腫瘍を認めた。pap + tub2 主体のadenocarcinoma であったが、形態学的に一部で神経内分泌系への分化が疑われた。synaptophysin 弱陽性、ki-67陽性率が70%と高率であった。以上の結果より、胆嚢原発のMixed adenoneurocrine carcinoma (MANEC),pT3a(SE), v1, pN0, cM0, Stage IIIA と診断した。術後補助化学療法が行われたが、術後4 か月で肝転移が認められ、術後6 ヵ月で死亡した。【結語】胆嚢MANEC は比較的稀な胆嚢腫瘍であり、本疾患に特徴的な画像所見はなく通常の胆嚢癌との鑑別は困難であった。