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O-27 急性膵炎を契機に診断された膵萎縮および主膵管拡張を呈したIPMNの一例

奴田 絢也1)、川路 祐輝1)、田村 崇1)、糸永 昌弘1)、幡丸 景一1)、山下 泰伸1)、北野 雅之1)、廣野 誠子2)、山上 裕機2)、岩橋 吉史3)、村田 晋一3)
和歌山県立医科大学 内科学第2講座1)、和歌山県立医科大学 外科学第2講座2)、和歌山県立医科大学 人体病理診断科3)


症例は70 歳、女性。急性膵炎の原因精査目的に当科紹介。造影CT にて膵体部から尾部にかけて著明な膵萎縮および4mm 径の主膵管拡張を認めるも、明らかな腫瘤像を認めなかった(Figure1)。MRCP では膵体部に15mm 長の主膵管狭窄およびその尾側の主膵管拡張(4mm) を認めた(Figure2)。EUS では膵体部主膵管壁から実質にかけて5mm の低エコー腫瘤を認め、その尾側の膵萎縮および主膵管拡張(4mm) を認めた。以上より、膵体部の微小膵癌を疑い、膵炎の原因と考えた。EUS-FNA を行うも、CLASS Ⅲであり、確定診断に至らず。そのため、ERP および膵液細胞診を施行。ERP ではMRCP と同様、膵体部主膵管の狭窄およびその尾側膵管に4mm の拡張を認めた(Figure3)。膵液細胞診ではN/C 比の大きい細胞集塊を認めるも、異型はやや弱く、CLASS Ⅲ b であった。画像上膵癌と診断し、脾合併膵体尾部切除術を施行。病理標本では、膵体部に、主膵管内を充実するように乳頭状及び腺管状構造の増生を認めた。構成上皮は高円柱状で、豊富な細胞内粘液を有した。核は卵円形で軽度腫大し、中等度までの重層化を呈した(Figure4)。腫瘍の内腔側は胃腺窩様、辺縁側は幽門腺様の分化を示すことより、IPMN with intermediate-grade dysplasia、gastric typeと診断された。 膵萎縮に伴う膵管拡張、およびEUS の低エコー像より臨床的に膵癌を疑ったが、病理結果はIPMN であった。画像上、術前にIPMN の診断が可能か御教授頂きたい。