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P-01 卵巣様間質を伴う非粘液性嚢胞腺腫の二例

吉川 雅登1)、岩橋 祥子1)、池本 哲也1)、森根 裕二1)、居村 暁1)、荒川 悠佑1)、齋藤 裕1)、山田 眞一郎1)、宮崎 克己1)、常山 幸一2)、島田 光生1)
徳島大学 消化器移植外科1)、徳島大学大学院 医歯薬学研究部疾患病理学分野2)


【はじめに】膵嚢胞の分類ではMCN は粘液を産生と卵巣様間質を特徴とし、IPMN,SCN,SPN は原則的に卵巣様間質を伴わない。ところが近年、粘液産生をせず卵巣様間質を伴う稀な腫瘍が報告された。2006-18 年に当院で切除した嚢胞性膵疾患19 例(IPMN を除く) をretrospective に検討した結果、病理学的に当疾患に該当するのは2 例(10.5%) であった。【症例1】40 歳代女性。CT で膵体尾部に単房性嚢胞を認めた。同部位はMRI上T1low,T2high であり、単純性嚢胞と診断、経過観察していたが2 年後に腫瘍は33mm に増大したため悪性も考慮し膵体尾部切除術を施行した。嚢胞内容物は漿液成分で嚢胞壁はMUC1,2,5AC,6 すべて陰性の非粘液産生性の立方上皮1 層で構成され、Estrogen receptor(ER),Progesterone receptor(PgR) 陽性の卵巣様間質を伴っていた。【症例2】60 歳代女性。膵体尾部の9mm の嚢胞性病変を経過観察していたが徐々に増大し、嚢胞径が24mm に達し、内部隔壁構造が目立つようになったため、MCN を疑い膵体尾部切除術を施行した。嚢胞内容物は漿液成分で嚢胞壁は1 層の立方上皮で覆われ卵巣様間質はH.E. 染色では明らかではなく免疫染色でもinhibin の発現はなかったがER,PgR の発現があり卵巣様間質を伴う非粘液産生腫瘍と診断した。【結語】卵巣様間質を伴う非粘液性膵嚢胞腺腫という新しい病理学的概念の腫瘍を経験した。中年女性の非特異的な膵嚢胞性腫瘍ではこのタイプの腫瘍を考慮する必要がある。