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O-02 IgG4陽性形質細胞の浸潤を伴った膵管癌の1例

丸尾 達1)、植木 敏晴1)、平塚 裕晃1)、伊原 諒1)、畑山 勝子1)、永山 林太郎1)、野間 栄次郎1)、八尾 建史2)、池園 剛3)、太田 敦子3)、原岡 誠司3)
福岡大学筑紫病院 消化器内科1)、同 内視鏡部2)、同 病理部3)


症例は70 代女性。2011 年に近医の腹部US で膵頭部に低エコー腫瘤を指摘されたが、経過観察となっていた。2014 年に再度行った腹部US で径14mm と増大しており,精査目的で紹介となった。腫瘍マーカーは正常範囲内であった。腎機能障害(eGFR:23.6mL/min)のため造影CT は撮影できなかったが,MRCP,ERCPで膵管に異常なく,膵液細胞診はClassI であった。経皮的膵生検で悪性所見を得られなかったため,経過観察となった。2016 年に行った腹部US で低エコー腫瘤は径20mm と,さらに増大したため,再度精査を行った。腫瘍マーカーは正常範囲内であったが,IgG4 が275mg/dL と高値であった。MRCP,ERCP で,膵頭部主膵管は狭窄しており,狭窄部より尾側膵管は拡張していた。経皮的膵生検で,IgG4 陽性形質細胞の浸潤があり,自己免疫性膵炎の診断であったが,異型細胞を伴っていた。2017 年に黄疸が出現し,CEA6.0ng/mL,IgG4が334mg/dL と高値であった。膵生検組織は前回と同様に,IgG4 陽性形質細胞の浸潤があり,大小不同の核を認め,膵管癌の診断となった。eGFR が32.9mL/min であり,切除不能と判断し,化学療法(GEM + nab-PTX)を開始した。一旦腫瘍は縮小したが,肝臓に遠隔転移が出現し,2018 年2 月に永眠された。血清IgG4の上昇と膵生検組織で,IgG4 陽性形質細胞の浸潤を伴った膵管癌の1 例を経験した。膵管癌によるIgG4 陽性形質細胞の浸潤か,あるいはIgG4 関連疾患による膵管癌の発生か検討して頂きたい。