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P-03 主膵管型IPMNに併存した浸潤性膵管癌の1例

與那嶺 圭輔1)、越田 真介1)、伊藤 啓1)、菅野 良秀1)、小川 貴央1)、楠瀬 寛顕1)、枡 かおり1)、岡田 恭穂2)、及川 昌也2)、野田 裕3)、澤井 高志3)
仙台市医療センター・仙台オープン病院 消化管・肝胆膵内科1)、同 消化器外科・一般外科2)、同 病理部3)


症例は68 歳男性. 他院の画像検査で膵腫大を認め,精査目的で当院紹介となった.造影CT では膵頭部に約3cm 大の乏血性腫瘤を認め,高度に拡張した膵体尾部主膵管内に空気像を認めた.MRI の拡散強調画像では膵頭部腫瘤と拡張した尾部主膵管内に拡散低下を伴う腫瘤を認めた.EUS では膵頭部に26mm 大の低エコー腫瘤を認めた.膵体部では拡張主膵管と十二指腸との交通が疑われ,これより尾側の拡張主膵管内には9mm高の壁在結節を認めた.膵頭部腫瘤に対してEUS-FNA を施行し,class Ⅳと診断した.また,小腸内視鏡下に十二指腸水平脚に粘液の排出を伴う瘻孔を認め,ここより主膵管内の乳頭状腫瘤から生検を行い,腸型の腺癌と診断した.膵頭部癌と腸型の悪性主膵管型IPMN と診断し,膵全摘術を施行した.切除標本の組織像では膵頭部に管状腺癌を認め,一方で膵体尾部主膵管内には乳頭状の異型上皮の充満像を認め,腸型の主膵管型IPMN と診断した.管状腺癌とIPMN 上皮との組織学的移行像は認めなかった. 最終診断は浸潤性膵管癌およびIPMN with high grade dysplasia,pT3,pN1,pM0, pStage IIB であった. 主膵管型IPMN 併存膵癌は極めて稀な症例と考えられ,診断に問題点が無いかご討論いただきたい.