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P-05 短期間で形態変化を認めた膵腺房細胞癌の1例

池田 未緒1)、三浦 晋1)、菅野 敦1)、畠 達夫2)、元井 冬彦2)、海野 倫明2)、大森 優子3)、古川 徹3)、正宗 淳1)
東北大学大学院 消化器病態学分野1)、東北大学大学院 消化器外科学分野2)、東北大学大学院 病理形態学分野3)


【症例】64 歳男性【主訴】心窩部痛【病歴】X 年1 月に心窩部痛で救急搬送された。腹部造影CT 検査で膵腫瘤を指摘され精査加療目的に当院紹介となった。【経過】心窩部痛は以後認められなかった。血液生化学検査では血清リパーゼ 75 IU/L と軽度上昇していたが、その他に特記すべき異常はなかった。腹部造影CT検査では膵尾部に楕円形で8㎝大の低吸収域を認め、辺縁を除き腫瘤内部の造影効果は認められなかった。MRI ではT1 強調で低信号、T2 強調で高信号を呈していた。ERCP では膵体部主膵管で蟹爪状に途絶しており腫瘍による主膵管内の腫瘍栓が疑われた。EUS では楕円形で、CE-EUS では辺縁のみ軽度造影され、中心部はほとんど造影効果を認めない低エコーな腫瘤であった。画像所見から膵腺房細胞癌を疑い膵体尾部切除の方針とした。手術直前の約1 か月後にCT、EUS を再検したところ、腹部造影CT 検査では尾側の造影効果のない低吸収域がやや縮小した一方で、viable な腫瘤が頭側から尾側に突出するように増大しており、EUS でも同様の所見が観察された。X 年3 月7 日に膵体尾部切除術が施行され病理組織学的診断の結果、膵腺房細胞癌と診断された。【まとめ】短期間で形態変化を来した膵腺房細胞癌の1例を経験した。膵腺房細胞癌の自然史を考察する上で貴重な1 例と考え報告する。