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P-09 膵粘液性嚢胞腫瘍(MCN)破裂の1切除例

林 佑穗1)、香川 幸一1)、水上 耀介1)、水島 一郎1)、葛西 祐樹1)、伊藤 高章1)、中下 学1)、岡沢 啓1)、永田 博司1)、関 博章2)、堂本 英治3)
けいゆう病院 消化器内科1)、けいゆう病院 消化器外科2)、けいゆう病院 病理診断科3)


症例は44 歳女性で既往歴は特記なし. 心窩部痛を自覚し近医受診, 胃薬処方されるも改善せず疼痛増強あるため当院受診された. 当院受診時の造影CT では, 膵尾部に径6cm の嚢胞性病変と胃壁に接し雪だるま状の粘液貯留を認め, 交通が疑われた.MRCP ではT2 高信号となる嚢胞性病変で, 明らかな充実成分はなく膵管との交通は認めなかった. 超音波内視鏡では膵尾部に比較的厚い被膜をもつ嚢胞性病変で, 内部にcyst incyst 様構造をもち, 一部に嚢胞壁の破綻を認めた. 以上より, 膵MCN の自然破裂と診断し脾合併膵体尾部切除術を施行した. 切除検体から採取した嚢胞内容液中のCEA は181.3 ng/dL, アミラーゼは26480 U/L であった. 標本造影では術前の画像検査と同様に嚢胞壁の破綻を確認した. 病理組織学的には, 粘液細胞が一部で内腔に乳頭状に増生しつつ嚢胞を裏打ちするように増殖し, 間質には紡錘形で密な卵巣様間質もみられたことから,Mucinous cystadenoma,pPCM:0 pDPM:0 pN0 と最終診断した. 嚢胞性病変の病理学的診断と一般に厚い被膜構造をもつMCN の破裂例は珍しく嚢胞壁破綻の成因に関し, 御討議お願いいたします.