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P-11 多発腫瘤像を呈した広範囲浸潤性膵管癌

遠藤 裕平1)、野田 弘志1)、相澤 栄俊1)、渡部 文昭1)、笠原 尚哉1)、加藤 高晴1)、田中 亨2)、力山 敏樹1)
自治医大さいたま医療センター 一般・消化器外科1)、自治医大さいたま医療センター 病理部2)


症例は50 歳台女性。黄疸精査CT で膵腫瘤を指摘され精査加療目的に当院紹介。造影CT で膵鉤部及び体部に16x13mm、17x15mm 大の境界不明瞭、内部不均一な造影効果に乏しい充実性腫瘤を認めた。画像上両者は約4cm 離れて存在していた。EUS でも同様に膵鉤部及び体部に境界不明瞭で内部不均一な低エコー腫瘤を認め、腫瘤より尾側の主膵管は拡張していた。腫瘤の連続性はなく、膵管内進展もはっきりしなかった。EUS-FNA において両者ともadenocarcinoma であった。以上より同時性多発膵癌と診断し、膵全摘術を施行した。病理検査において、肉眼的には膵鉤部に18x17mm 大、体部に22x20mm 大の境界不明瞭な腫瘤を認め、組織学的にはいずれも同様な組織型tub1>pap, tub2 であった。膵鉤部腫瘍は乳頭近傍にまで達する浸潤癌で、主膵管内進展を認め体部で20mm 大の浸潤領域を形成しているようであった。組織型が同一かつ主膵管で連続しているため、一つの腫瘍と判断した。膵管内進展部を合わせると腫瘍径は6cm 以上であった。TS4,pT3, CH0, DU1, S0, RP1, PV0, A0, PL0, OO0, ly2, v2, ne0, mpd1, INFb, sci, N1。同時性多発浸潤性膵管癌の報告例は稀ながら散見されるが、本症例のように一つの浸潤性膵管癌が複数の腫瘤像を呈した報告例は過去に1 例のみであった。討論ポイント:術前画像における膵管内進展の評価について。同時性多発癌と広範囲浸潤癌の病理検査における鑑別ポイントについて御教授いただきたい。