室内の明るさに合わせてページ背景の明るさを調整してください。


P-12 GnPに反応せずFOLFIRINOXで腫瘍マーカーが著減した膵体部腫瘍の1切除例

中山 雄介1)、豊田 英治1)、吉村 昂平1)、阿部 由督1)、稗田 信弘2)、河南 智晴2)、奥野 知子3)、白瀬 智之3)、大江 秀明1)、廣瀬 哲朗1)、土井 隆一郎1)
大津赤十字病院 外科1)、大津赤十字病院 消化器内科2)、大津赤十字病院 病理3)


症例は44 歳、女性。1 年前に乳癌。YY 年4 月2 日に腹痛で発症。CT で膵体部に腫瘍。最大径5.5 cm あり、比較的境界明瞭で、内部は造影効果が不均一。充実成分は膵実質と比較して弱い造影効果を認めた。腹腔動脈、総肝動脈、脾動脈、上腸間膜動脈周囲に軟部陰影を認めた。EUS-FNA では、adenocarcinoma と考えられ、またCK7、CK20 は共に陽性であった。画像は典型的な膵管癌像ではなかったが、腹腔動脈周囲に軟部陰影あり神経叢浸潤が疑われたため、UR-LA と評価し、5 月16 日からGnP 療法を開始。画像的にやや変化あるも、腫瘍マーカーは上昇。XX 年11 月に審査腹腔鏡、腹腔洗浄細胞診でClass V。YY 年11 月21 日からFOLFIRINOX 療法に変更。腫瘍マーカーは激減。画像的にやや縮小、腹腔動脈周囲の軟部陰影もやや消退。化学療法の目途がついたので、切除を実施。YY+1 年4 月に腹腔動脈合併膵体尾部切除術(DP-CAR)を実施した。切除標本の腫瘍断面は、充実成分の周囲に嚢胞と思われる多房性の構造を呈していた。病理組織学的には腺癌成分が主体。腫瘍辺縁間質はER、PgR が陽性となる卵巣様間質を認め、膵粘液性嚢胞腺癌と診断した。治療前から内部不均一な構造で嚢胞性腫瘍の可能性があったが、動脈周囲神経叢浸潤有りと評価して化学療法を導入したが。治療開始前に膵粘液性嚢胞腺癌と診断できていれば、手術先行という治療選択もあったかもしれない。画像診断、病理所見について検討したい。