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P-14 Solid pseudopapillary neoplasm(SPN)と鑑別が困難であった膵嚢胞性病変の1切除例

畔元 信明1)、横田 智行1)、上甲 康二1)、二宮 瑞樹2)、大城 由美3)
松山赤十字病院 肝臓・胆のう・膵臓内科1)、同 外科2)、同 病理診断科3)


症例は40 歳女性。超音波内視鏡検査にて膵体部に境界明瞭な17mm の低エコー腫瘤を指摘され、当科を受診された。造影CT では、境界明瞭、内部は造影効果に乏しく、後期相にかけて辺縁が造影された。MRI 検査ではT1WI にて高信号、T2WI にて辺縁に被膜様の低信号帯があり、内部は辺縁が高信号で内部は相対的に低信号を呈していた。主膵管に狭窄や拡張はみられなかった。FDG-PET/CT 検査では、同部にFDG の集積はみられなかった。EUS では境界明瞭な被膜様構造がみられ、内部は嚢胞様であった。以上よりSPN を疑い、EUS- FNA を行った。多数の泡沫細胞やライトグリーン好染の無構造物がみられ、嚢胞性病変が示唆された。SPN に矛盾はしない所見と考え、亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した。手術標本は膵頭部に嚢胞性病変がみられ、内部には血液成分を含む内容液が充満していた。病理所見は、内部の液はコレステリン血漿や血液を伴う成分であり、壁には乳頭状腫瘍等の構造物はみられなかった。また壁は泡沫状やコレステリン、ヘモジデリンを貪食した組織球が集簇しており、軽度のリンパ球浸潤がみられた。一部には微量の上皮性成分がみられたが、異型はなく、また増殖性病変を示唆する所見はみられないためSPN は否定的であった。鑑別としてはその他の嚢胞性病変があげられるが、診断は困難であった。画像所見、病理所見から、本症例の最終診断についてご意見をいただきたい。