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P-17 巨大肝転移巣切除により診断した微小膵腺房細胞癌の1例

大畠 慶直1)、田島 秀浩1)、真橋 宏幸1)、中沼 伸一1)、牧野 勇1)、宮下 知治1)、二宮 致1)、伏田 幸夫1)、池田 博子2)、蒲田 敏文3)、太田 哲生1)
金沢大学 消化器・腫瘍・再生外科学1)、金沢大学 分子細胞病理学2)、金沢大学 放射線科学3)


症例は41 歳女性. 心窩部の違和感をきっかけに肝巨大腫瘍を指摘され当院へ紹介となった. CT 検査では肝S8 に8cm 大, 6cm 大, S5/6 には10cm 大の境界明瞭な腫瘤を認めた. 造影早期に濃染し, 後期にwash out する領域が混在し内部均一な低吸収域を伴っていた. EOB-MRI 検査ではT1 で低信号, T2 で 高信号を示し造影パターンはCT 検査と同様であった. PET-CT 検査では肝腫瘍にSUV-Max 5 程度の集積を認めた. 消化管を含め肝臓以外には異常所見を認めなかったが膵癌の肝転移の可能性を考慮しEUS を行ったところ膵尾部に高低エコーが混在した8mm 大の卵円形の病変を認めた. 主膵管と交通がありBD-IPMN と判断しEUS-FNAは行わなかった. 拡大右肝切除術を行ったところ肉眼的には灰白色多結節分葉状腫瘤を認め, 組織学的には好酸性顆粒状細胞質を有する細胞が胞巣状構造を呈し充実性に増殖していた. 免疫染色では神経内分泌マーカーは陰性でbcl-10 が陽性であることから腺房細胞癌と診断された. 術後に膵嚢胞性病変に対してEUS-FNAを行ったところ膵腺房細胞癌と診断され現在膵体尾部切除術を予定している. 本症例は微小膵原発巣と巨大肝転移巣を認め肝切除することで診断がついた稀な症例である. 術前の転移巣の画像所見および膵臓のEUS所見で診断が可能であったかご討議頂きたい.