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P-18 診断に難渋したSolid-pseudopapillary neoplasmの一例

落合 正、杉森 聖司、山口 奈奈子、櫛山 菜穂子、中平 晶雄、坂田 侑平、中原 憲一、平田 直人、末包 剛久、山崎 智朗、根引 浩子
大阪市立総合医療センター 消化器内科


【症例】20 歳台 女性【主訴】肝機能障害【現病歴】婦人科での右卵巣嚢腫に対する術前精査で肝機能障害を指摘された. 腹部超音波検査を受け膵尾部に嚢胞性病変を指摘されため精査目的に紹介受診した.【主な検査所見】腫瘍マーカーはCEA 1.5ng/ml, CA19-9 7.4U/ml, DUPAN-2 25U/ml 未満, SPAN-1 10.0U/ml 未満であった. 造影CT では内部に漸増性に濃染される充実部を伴う嚢胞性病変であった. 腹部造影MRI では27mm 大の多房性腫瘤を指摘され,T1WI で内部が高信号, T2WI では内部が不均一な低信号と高信号が混在していた. 造影効果は皮膜と不整な隔壁が遅延性濃染であった.EUS では内部に充実成分を伴う多房性嚢胞であり, 充実部の内部に嚢胞様の無エコー域を認めた. 若年女性で膵尾部にある多房性嚢胞性病変の鑑別としてSPN,MCN, SCN,NET を挙げた. 典型的な石灰化像は指摘しなかったがMRI で出血成分と充実成分, 嚢胞成分の混在を疑う所見であり,SPN を第一に疑った.【経過】消化器外科で脾温存膵尾部切除術が施行された. 病変部は繊維性皮膜に覆われた嚢胞性病変であり, 結合の弱い細胞が離開し偽乳頭状構造を呈しており免疫染色ではCD10, β -catenin が陽性であったためSPN と診断した.【検討事項】術前の検討では嚢胞成分の周囲に充実成分が認識出来なかったため, 充実性腫瘍と嚢胞性腫瘍との鑑別が困難であった. 診断に難渋したが画像診断で術前診断をすることは可能であったかご討議いただきたい.