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P-19 非典型的な画像所見を呈した膵神経内分泌腫瘍の1例

塩路 和彦1)、盛田 景介1)、青柳 智也1)、栗田 聡1)、佐々木 俊哉1)、小林 正明1)、高野 可赴2)、野村 達也2)、川崎 隆3)
新潟県立がんセンター新潟病院 内科1)、同 消化器外科2)、同 病理診断科3)


典型的な膵神経内分泌腫瘍は境界明瞭で多血性の腫瘍として描出されるが、主膵管狭窄を来したり、多血性の腫瘍としては描出されなかったりと、非典型的な症例も散見される。今回非典型的な画像所見を呈し術前に診断できなかった膵神経内分泌腫瘍の1 例を経験したので報告する。 症例は40 代の男性。2018 年9 月 ドックの腹部US にて膵嚢胞が疑われ近医を受診。CT にて膵癌が疑われ12 月 当科紹介受診。身体所見に異常なく、血液検査にてCEA、CA19-9、DUPAN2 は正常範囲内であった。腹部造影CT では膵頭体移行部に後期相で正常実質に比し造影される領域を認めた。境界は不明瞭だが同部で主膵管が途絶し、尾側膵管の拡張を伴うことから膵癌が疑われた。腹部MRI にてCT にて腫瘤が疑われた領域はT1WI で低信号、T2WI で等信号、DWI は拡散低下を認めた。MRCP にて膵管の途絶と尾側膵管の拡張を認め浸潤性膵管癌で矛盾しないと考えられた。診断確定のためERCP および狭窄部の擦過細胞診、ENPD 留置による膵液細胞診を行った。擦過細胞診ではClass IV、膵液細胞診ではClass V, 腺癌と診断され、浸潤性膵管癌の術前診断で2019 年1 月 膵体尾部切除が施行された。最終病理診断は膵神経内分泌腫瘍、Ki67 index 15% でPanNEN G2 と診断された。 術前に膵神経内分泌腫瘍の診断が可能であったか、非典型的な画像所見を呈した病理学的な理由についてご検討いただきたい。