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P-23 興味深い画像所見を呈した膵頭部IPMN由来浸潤癌の1例

高野 仁1)、夏目 誠治1)、千田 嘉毅1)、奥野 正隆1)、奥野 のぞみ2)、桑原 崇通2)、羽場 真2)、水野 伸匡2)、原 和生2)、細田 和貴3)、清水 泰博1)
愛知県がんセンター 消化器外科部1)、愛知県がんセンター 消化器内科部2)、愛知県がんセンター 遺伝子病理診断部3)


症例は40 歳代女性。近医での腹部超音波検査で腹部腫瘤を指摘され、精査加療目的に紹介となった。腫瘍マーカーは正常範囲内であった。CT(computed tomography) では膵頭部に石灰化を伴う約10cm の境界明瞭な腫瘍を認めた。腫瘍の大部分はlow density area で占められていたが、一部に造影効果を有する充実成分を認めた。病変部より尾側の主膵管には軽度拡張を認めた。上腸間膜静脈への圧排はあるが、浸潤所見は認めなかった。MRI(magnetic resonance imaging) では嚢胞と考えられるT2 高信号な領域の内部に造影効果を有する不整な充実成分を認めた。EUS(endscopic ultrasonography) では腫瘤内部は高エコー像と低エコー像が混在する所見であった。FNA(fine needle aspiration) による組織診断は播種のリスクを考慮して施行しなかった。SPN(solid pseudopapillary neoplasm) の疑いで膵頭十二指腸切除術を施行した。固定後標本において、嚢胞内部には粘液が充満していた。病理学的所見では、嚢胞壁には異型上皮細胞が乳頭状に増殖しており、充実成分では異型細胞が乳頭状、腺管状に増殖しており、IPMN(intraductal papillary mucinous neoplasm) 由来浸潤癌と診断した。術前画像において、診断が可能であったかを検討したい。