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P-24 増大傾向を示し悪性リンパ腫が疑われた膵尾部腫瘤の1例

高木 馨、戸田 信夫、今井 誠、福村 幸代、佐藤 公紀、近藤 真由子、小島 健太郎、大木 隆正、関 道治、加藤 順、田川 一海
三井記念病院 消化器内科


症例は特に既往歴のない65 歳男性。健診の腹部エコーで肝血管腫を指摘され前医受診し、CT で膵尾部腫瘤を指摘された。EUS-FNA でリンパ球浸潤を認めたものの診断確定せず当科に紹介受診となった。CT では膵尾部が腫瘤様に腫大しており早期相と第2 相で膵頭体部と比較してやや増強効果が低く後期相でほぼ同等。膵管拡張はなかった。MRI では腫大した膵尾部はT2W high、T1W low、DWI high。IgG4 84.9mg/dl と上昇なく、sIL-2R 655U/mL と軽度上昇を認めた。EUS では膵尾部の腫大はあるが腫瘤としては認識できなかった。EUS-FNA を再検し前医と同様の濾胞形成を伴ったリンパ球浸潤が認められた。2 ヶ月後のCT で膵尾部腫瘤の増大と腸間膜リンパ節の腫大を認め悪性リンパ腫が疑われたため腸間膜リンパ節切除が行われ、リンパ濾胞増殖と診断された。その後のPET-CT では膵体尾部、肝十二指腸間膜リンパ節、腸間膜リンパ節、右腎腹側のリンパ節に異常集積を認めた。やはり悪性リンパ腫を否定できず、膵体尾部切除を行った。切除標本では膵尾部に15mm 大の白色調境界不明瞭な結節状病変が見られた。周囲に線維化を伴ったリンパ球浸潤・リンパ濾胞形成を主体とする病変であった。主に濾胞性リンパ腫の可能性につき検討されたが免疫組織化学、表面マーカーや遺伝子、染色体の検索では悪性リンパ腫を示唆する所見は得られなかった。