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P-25 膵管癌から発生した膵神経内分泌腫瘍の一例

北川 貴之、吉田 浩司、草加 裕康、佐々木 啓壮、大海 宏暢、三宅 智雄、西紋 禮士、青木 啓純、時岡 峻三、中島 義博、日野 啓輔
川崎医科大学附属病院


症例は70 歳代女性。人間ドックの腹部超音波検査で膵頭部に20mm 大の低エコー腫瘤を指摘された。CT では膵頭部に18mm 大の腫瘤性病変があり同病変は造影早期相では低吸収に描出され、後期相では辺縁がリング状の造影効果を伴い内部にも淡い造影効果を認めた。MRI 検査ではTIWI 低信号、T2WI 低信号で一部高信号、DWI 高信号に描出されdynamic study ではCT と同様の所見であった。膵管癌を疑われEUS/FNA 施行目的で当院へ紹介された。EUS では膵頭部に内部エコー粗雑で辺縁不整、境界一部不明瞭な低エコー腫瘤として描出されFNA の結果は異型性の強い細胞を認め核の大小不同が目立ち膵管癌として矛盾しない所見であった。他臓器への転移は指摘できず膵頭十二指腸切除術を施行した。腫瘤内には異型細胞が腺管様の構造および充実性の胞巣を形成しておりリボン状に配列している像も認められた。また異型細胞には核分裂像も散見された。免疫染色ではCK7 やEMA、HNF-4 αが陽性で、多くの胞巣内にはCD56 やChromogranin A、Synaptophisin が陽性、MIB-1 Index はhot spot で24.0% と神経内分泌腫瘍が疑われた。腺管構造を認める部位ではIMP3 やCEA、S-100p が陽性で僅かだがMUC1 やMUC5AC も陽性であり腺癌と神経内分泌腫瘍の合併、mixed nonendocrine-neuroendcrine neoplasm と診断した。【検討項目】術前にMiNEN と診断することは可能か。神経内分泌腫瘍成分は腫瘤内部に存在するPanIN3 様病変から発生したのか。