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P-26 膵管内乳頭粘液性腫瘍または膵粘液癌原発腹膜偽粘液腫の一例

片岡 温子1)、伊藤 橋司1)、竹村 信行1)、三原 史規1)、黒川 敏昭1)、清松 知充1)、矢野 秀朗1)、平井 一郎2)、川村 博司2)、國土 典宏1)
国立国際医療研究センター病院 外科1)、三友堂病院 外科2)


75 歳男性。既往に虫垂切除術。前医にて糖尿病治療中。2012 年4 月、血糖値、炎症反応、CA19-9 の上昇を認めCT 施行。膵体尾部主・分枝膵管拡張とSMA 背側の不整な軟部組織陰影を指摘。しかし閉塞起点となる腫瘍性病変を認めず、PET-CT で集積が無く、膵炎疑いで経過観察となった。同年9 月のCT で膵管拡張は残るも軟部組織陰影は消失し、膵炎の経過とされた。翌年のCT は不変で、以降の検査は本人が拒否された。2017 年10 月、褐色痰を主訴に前医受診。CT で大量腹水・膵尾部に主膵管と連続した巨大多房性嚢胞性病変を認めた。膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN) 由来の腹膜偽粘液腫が疑われ、当科紹介。膵体尾部切除術予定で手術施行。約4L の血性腹水と大量の粘液結節を認めた。小腸や小腸間膜はほぼ病変が無く、2 期的な完全減量手術が可能と判断した。初回手術時の全身状態は良好といえず、また原発巣切除により次の完全原減量手術が困難になる可能性を踏まえ、大網切除・粘液ドレナージ・播種結節生検にて終了した。その後一度は退院するも全身状態が改善せず、完全減量手術を施行できずに原病死した。初回手術時の病理では印環細胞が集簇した粘液湖形成と高度細胞異型を伴う腫瘍上皮の乳頭状増生を認め、High-grade pseudomyxomaperitonei(PMCA) の診断であった。原発巣はIPMN または膵粘液癌を疑うが両者の判別が困難であるため鑑別と、IPMN または膵粘液癌由来の腹膜偽粘液腫の病理についてご教授頂きたい。