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P-27 平坦隆起型の胆嚢腸型腺腫の一例

山子 泰加1)、宮田 英樹1)、泉本 裕文1)、吉野 武晃1)、鶴田 美帆1)、相引 利彦1)、奥平 知成1)、岩﨑 竜一朗1)、金本 真実2)、木藤 克己3)
愛媛県立中央病院 消化器内科1)、愛媛県立中央病院 消化器外科2)、愛媛県立中央病院 病理診断部3)


【症例】70 歳代 女性【主訴】食欲低下【既往歴】直腸癌術後、脳動脈瘤、肺MAC(Mycobacterium aviumcomplex)症、膵IPMN(Intraductal Papillary Mucinous Neoplasm)【現病歴】食欲低下と体重減少で近医を受診し、血液検査でCA19-9 が1600U/mL と高値であり精査目的に当科へ紹介された。【経過】腹部症状は無く血液検査では肝胆道系酵素上昇は無かったが、CA19-9 は1110U/mL と高値であった。腹部超音波検査にて胆嚢体部に乳頭状の隆起を伴う平坦隆起性病変を認めた。カラードップラーでは血流シグナルは認めなかった。造影CT でも胆嚢体部に平坦な隆起性病変があり、造影効果を認めたが、胆嚢壁は保たれており、リンパ節転移や遠隔転移も認めなかった。EUS では胆嚢体部に隆起性病変があり、胆嚢壁最外層の不整は認めなかった。CA19-9 の上昇と画像所見から胆嚢癌と考え、開腹胆嚢摘出術を施行した。病理結果は、胆嚢底部から体部に広範囲の平坦隆起性病変を認め、一部丈の高い隆起も認めた。高円柱状の腸型上皮から成り、核異型や極性の乱れは認めず、管状腺腫と診断した。免疫染色では腸型形質マーカー(CDX-2)が陽性であり、幽門腺形質マーカー(MUC6)が陰性であった。胆嚢腺腫は通常有茎性のことが多く、平坦隆起性の形態をとることは稀である。画像診断から、胆嚢癌と考えたが腺腫と診断することは可能であったか。平坦隆起型の胆嚢腺腫という稀な症例を経験したため報告する。