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P-30 腎細胞癌の胆嚢転移の1例

吉川 成一1)、北條 雄暉1)、小林 隆昌1)、小林 陽子1)、小林 雄司1)、河久 順志1)、三浦 努1)、竹内 学1)、皆川 昌広2)、谷 達夫2)、薄田 浩幸3)
長岡赤十字病院 消化器内科1)、長岡赤十字病院 外科2)、長岡赤十字病院 病理診断部3)


【症例】56 歳,女性.【既往歴】2007 年 左腎細胞癌(根治的腎摘出術).【現病歴】左腎細胞癌手術後の経過観察のための造影CT にて,2013 年に造影される胆嚢ポリープが指摘,腹部エコーでは7mm 大と小さく経過観察.徐々に増大し2015 年に当科へ紹介.【経過】年1 回の画像検査にて増大傾向が見られ,2017 年には15mm 大となった.腹部エコーでは有茎性・桑実状で内部に点状高エコーを有するやや高エコーポリープ様で,MRI でも有茎性・桑実状を呈しDWI 高信号は見られず,コレステロールポリープの可能性が高いとの診断であった.しかしEUS では,胆嚢体部に茎の太い15mm 大の有茎性ポリープが描出され,表面は不整だがやや高エコー層を有し,内部は実質様で,点状高エコー所見は乏しく,腹部エコー所見との解離がみられた.ドップラーでは細血管が毛玉状に見られ,造影EUS では早期よりポリープ全体に高度の濃染が見られ,胆嚢摘出術を施行.病理所見ではポリープ部に淡明な腫瘍細胞の増殖が見られ,CD10 とPAX8 が陽性であり腎細胞癌胆嚢転移と診断.【考察】腎細胞癌の胆嚢転移は稀であり,同時性もしくは異時性転移の報告がわずかに見られる.本症例では腎細胞癌手術6 年後に胆嚢ポリープが指摘されるも,術後10 年後に胆摘手術をするまで診断が困難であり,画像所見・病理所見につきご検討いただきたく症例を提示させていただきます.