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P-35 膵尾部腫瘍の手術前後で内視鏡像に変化をきたし,十二指腸乳頭部癌と診断して外科的切除を実施した1例

羽場 真1)、水野 伸匡1)、桑原 崇通1)、奥野 のぞみ1)、孝田 博輝1)、宮野 亮1)、千田 嘉毅2)、清水 泰博2)、細田 和貴3)、原 和生1)
愛知県がんセンター 消化器内科1)、同 消化器外科2)、同 遺伝子病理診断部3)


症例は70 歳代,女性.2018 年10 月,近医で撮像されたCT で膵尾部腫瘍が疑われたため,精査加療目的で当科へ紹介となった.血液生化学検査では腫瘍マーカーを含めて異常を認めなかった.US,CT,EUS で膵尾部に嚢胞性分を有する充実性腫瘤がみられ,充実性偽乳頭状腫瘍(SPN), 神経内分泌腫瘍などが疑われたため膵体尾部切除術の方針となった.術前のスクリーニング検査として施行した上部消化管内視鏡で十二指腸主乳頭部に褪色調の腫瘍の露出を認め,生検で高度異型腺腫の診断であり,膵尾部腫瘍の術後に内視鏡的切除を予定した.同年11 月に腹腔鏡下膵体尾部切除術を行い,Grade A の術後膵液漏を来したが保存的治療で軽快し,術後15 日目に退院となった.病理組織学的にはSPN であった.2019 年1 月に再検した内視鏡において乳頭部腫瘍は発赤調で軽度の陥凹を示し,不整な形態へと変化していた.EUS では病変は十二指腸筋層を超えず,胆管膵管への進展はみられなかったが,内視鏡下の再生検で高分化型腺癌を認めたことから,膵頭十二指腸切除術(残膵全摘術)を行った.病理組織学的には最大径18mm 大の露出腫瘤型の乳頭部腫瘍で,高度異型管状腺腫の像であり,明らかな癌の成分は検出できず,乳頭部腺腫と診断した.3 か月間で変化をきたした内視鏡像に対する診断,および治療方針の妥当性についてご討論いただきたい.