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P-36 胆嚢炎症性ポリープの一例

荻巣 恭平、花本 浩一、有坂 好史
日本生命病院消化器内科


症例60 才台女性、2015 年11 月の腹部US で11㎜大の胆嚢ポリープを認め、2017 年4 月には17mm 大と増大傾向を認めたため当科を紹介受診した。腹部US では有茎性の低エコーポリープであり、内部に点状高エコーを認めた。腹部造影CT では同ポリープに造影効果を認め、MRCP ではT1WI で不明瞭、T2WI で淡い低信号、DWI では明らかな拡散の低下は認めなかった。明らかな膵胆管合流異常も認めなかった。超音波内視鏡検査でも腹部エコーと同様の結果であり、諸検査からは胆嚢コレステロールポリープと考えたが増大傾向であり、サイズからも腺腫以上の病変の合併が否定できないため胆嚢摘出術を行う方針となった。切除した胆嚢には10mm 大の有茎性ポリープを認め、病理組織学的検査では異型の乏しい上皮に覆われ、間質の浮腫と炎症細胞浸潤、肉芽状変化を認めた。悪性所見は認めず、胆嚢炎症性ポリープと診断した。胆嚢炎症性ポリープは比較的頻度が少なく、形態は広基性を呈し、慢性胆嚢炎に合併することが多いとされているが本症例は有茎性であり、慢性胆嚢炎も認めなかった。胆嚢炎症性ポリープに関する特徴的な画像の報告は少なく、術前に診断し得た報告例は見られないのが現状であり本症例を基に画像所見の検討や病理学的な検討も含めて提示させて頂く。