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P-37 膵・胆管合流異常に合併し、内部に複数の小嚢胞構造と樹脂状の血流シグナルを認めたⅠp型胆嚢癌の1例

岡庭 信司1)、高山 昇平2)、白籏 久美子2)、中村 喜行1)、前田 知香3)、堀米 直人3)、佐野 健司4)
飯田市立病院 消化器内科1)、飯田市立病院 内科2)、飯田市立病院 消化器外科3)、飯田市立病院 病理診断科4)


症例は60 歳、女性。心窩部痛と右季肋部痛にて近医を受診した。血液検査では、肝・胆道系酵素や腫瘍マーカーの上昇を認めなかった。 腹部US では、胆嚢底部に大きさ25mm の亜有茎性隆起性病変を認めた。高周波プローブにて内部に複数の小嚢胞構造を認め、SMI では基部から腫瘤内に樹枝状に広がる複数の血流シグナルを認めた。胆嚢壁の内側低エコー層はびまん性に肥厚していた。 EUS では、内部に大小不同の不整形の小嚢胞構造を認めた。胆嚢壁の内側低エコー層はびまん性に肥厚し、肝外胆管の拡張を伴う膵・胆管合流異常を認めた。 造影CT では、腫瘤は単純CT で肝臓よりやや低濃度の分葉状を呈し、造影早期相で不規則に濃染し、造影後期相で遷延性の濃染を認めた。 ERCP では、隆起性病変は結節〜分葉状の表面構造を呈し、圧迫により可動性を認めたことから有茎性と診断した。肝外胆管の胆汁中アミラーゼは187200IU/L、胆嚢内より採取した胆汁細胞診はclassll であった。 以上より、胆管拡張型膵・胆管合流異常に合併したlp型早期癌と術前診断し、胆嚢摘出術と分流手術を施行した。病理組織学的には、adenocarcinoma、tub1>pap(pT1a、int、INFb、ly0、v0、ne0)、fT1aN0M0、fstagel であった。 US およびEUS で認めた複数の小嚢胞様構造は拡張した腫瘍腺管を反映していたと考えられ、SMI で認めた複数の樹枝状の血流シグナルと共に腫瘍性病変を示唆する所見と考えられた。