室内の明るさに合わせてページ背景の明るさを調整してください。


P-38 特異な発生進展形式を来した肝外胆管周囲腫瘍の一例

金田 遼1)、澤田 雅志1)、佐々木 隆1)、松山 眞人1)、尾阪 将人1)、髙橋 祐2)、平塚 真生子3)、上田 和彦3)、重松 康之4)、稲村 健太郎4)、笹平 直樹1)
がん研究会有明病院 肝胆膵内科1)、がん研究会有明病院 肝胆膵外科2)、がん研究会有明病院 画像診断部3)、がん研究会有明病院 病理部4)


57 歳男性。健診にて総胆管に腫瘍を指摘され近医受診。腹部CT にて上部胆管から肝門部胆管に腫瘍を指摘されたため当院紹介受診となった。【現症】164cm、54㎏、身体所見特になし。喫煙20 本/ 日(37 年)、機会飲酒(2 回/ 月)【血液検査】血球、肝胆道系酵素に異常を認めず。CEA、CA19-9 正常。HBV(-)、HCV(-)【画像診断】CT:腫瘤は30 × 30mm、肝門部領域胆管を取り囲むように存在する明瞭平滑な腫瘍として描出され、胆管は圧排されながら内腔は連続が追え、肝内胆管拡張は認めなかった。肝と比較して造影40 秒で高、75 秒—210 秒で等。血流は主に右肝動脈由来の胆管枝→腫瘤→ parabiliary venous system → S4 背側縁肝類洞と思われた。MRI:T1 低信号、T2 やや高い低信号、DWI では強い高信号。以上から胆管癌は否定的で、リンパ増殖性疾患、炎症性偽腫瘍、胆管神経内分泌腫瘍を鑑別とした。EUS-FNA を施行し、中分化型肝細胞癌の所見が得られた。その後の血液検査でAFP:357 ng/ml、AFP-L3 分画:2.4%、PIVKA-II:171 mAU/ml を確認した。拡大左肝+ 肝外胆管切除が施行された。【手術検体】肉眼的に腫瘍は肝管背側に主座を置く腫瘍で、割面では緑色充実性であり肝S4 との連続性は見られなかった。組織学的には総肝管壁外の腫瘍で、腫瘍辺縁に異所性肝組織を伴う肝細胞癌であった。【結語】総肝管周囲異所性肝から発生した肝細胞癌を経験した。HCC の発生母地、進展形式について討議願いたい。