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P-39 胆管炎を契機に発見されたIPNBの一例

石井 重登1)、藤澤 聡朗1)、高橋 翔1)、高崎 祐介1)、鈴木 彬実1)、冨嶋 亨1)、斎藤 紘昭1)、岸川 さつき2)、福村 由紀2)、椎名 秀一朗1)、伊佐山 浩通1)
順天堂大学医学部附属順天堂医院 消化器内科1)、順天堂大学 人体病理病態学2)


症例は胆管炎で入院となった78 歳男性である。2 年前に総胆管結石の治療歴があり結石再燃が疑われ、ERCP を施行した。EST 後であるにも関わらず胆管挿管時に強い抵抗を感じ、乳頭部に硬い狭窄が疑われた。総胆管結石を認めたためにバルーン排石を施行したが、加えて下部胆管にわずかな壁不整を認めたため、胆管生検を施行したところ異型細胞が検出された。EUS では乳頭近傍の胆管壁肥厚を認め、三管合流部近傍まで壁肥厚は連続し、ソナゾイド造影では壁肥厚部は正常と思われる粘膜よりわずかに強く顆粒状に染影されていた。進展度診断目的にIDUS、SpyGlass を施行した。IDUS では片側性の壁肥厚を認め、三管合流部やや肝側まで壁肥厚は続いておりEUS と同様の進展範囲と考えた。SpyGlass では壁肥厚部は正常胆管よりも丈の高い顆粒状粘膜として観察され、SpyGlass 下に胆管の壁肥厚部位からの生検を施行したところ、IPNBlow grade の診断となった。原疾患がIPNB であること、耐術能を考慮し、膵管ステントを留置した上で肝外胆管+乳頭部切除術が施行された。病理結果はIPNB であり、摘出検体の広範囲にIPNB を認めたが肝側断端は陰性であった。IPNB に対してSpyGlass を施行し、直視下生検をすることで診断および進展範囲の予測に有用であった一例を経験したため報告する。