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P-40 膵・胆管高位合流に合併した胆嚢隆起性病変の1例

長川 達哉1)、那須野 央1)、奥 大樹1)、北川 翔1)、田原 宗徳2)、石津 寛之2)、市原 真3)、後藤田 裕子3)、村岡 俊二3)
札幌厚生病院 消化器内科(胆膵内科)1)、札幌厚生病院 外科2)、札幌厚生病院 病理診断科3)


症例は70 歳女性,他院US にて胆嚢底部に隆起性病変を指摘され,精査を依頼された.CE-CT では腺筋腫症の所見と共に,比較的早期より造影効果を示す最大径25mm 前後の内腔面に凹凸を有する隆起性病変を認めた.MRI (拡散強調像)では高信号を示しており,均一な増強効果を認めた.EUS では底部に向かうにつれ徐々に内側低エコー層の肥厚所見と表面の乳頭状変化が顕著となり、最大18mm 厚のI+IIa 型腫瘍として描出されたが,外側高エコー層との境界に不整像を認めなかった.ERCP では共通管は14mm 長、括約筋弛緩時には膵管と胆管に交通を認め,胆嚢胆汁のAmylase 値も高く、膵・胆管高位合流と診断した。ENGBD 造影では表面乳頭状の比較的丈の高い隆起性病変とその周囲粘膜に細顆粒状変化を認めた。深達度SS 浅層までの乳頭膨張型胆嚢癌と考え胆汁細胞診を反復したが,粘液性背景とClassIIb までの異型に留まる上皮細胞を認め悪性所見は得られなかった。開腹胆嚢摘出術を施行し,底部に表面乳頭状の広基性腫瘍を認めた.病理組織所見では主として異型に乏しいMUC6 陽性細胞が腺腔を形成しながら増生しており,内腔面の一部のみ軽度の構造異型を有するMUC5AC 陽性細胞が乳頭状増殖を示していた.腫瘍はRAS 内へ進展するも浸潤像は認めず,Ki-67 陽性細胞も散在性に少数認めるのみであり,幽門腺型管状腺腫と診断された.典型例は20mm大前後のIp 型病変と報告されており,病理学的に御検討頂きたく症例提示する.