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P-44 著しい早期濃染を呈し、半年間で増大傾向を示した高分化型肝細胞癌の1例

南口 貴世介1)、丸上 永晃2)、平井 都始子2)、高濱 潤子1)、吉川 公彦1)、野見 武男3)、庄  雅之3)、森田 剛平4)、大林 千穂4)
奈良県立医科大学 放射線・核医学科1)、奈良県立医科大学 総合画像診断センター2)、奈良県立医科大学 消化器外科3)、奈良県立医科大学 病理診断学講座4)


40 代女性。近医で施行された超音波で偶然肝腫瘤を指摘、精査加療目的で当院紹介となった。肝炎ウイルスは陰性でアルコール多飲歴もなく、腫瘍マーカーも正常範囲内であった。US で肝S8 に比較的境界明瞭な5cm 大の低エコー腫瘤を認め、CDUS ではバスケット状のカラー表示を呈した。ソナゾイド造影後動脈相では強い濃染が見られ、門脈優位相以降も濃染が持続した。造影CT で腫瘤は造影早期相で均一な濃染を呈し、平衡相でwashout した。また造影早期相より右肝静脈への早期還流が見られた。MRI で腫瘤はT1 強調像で肝実質より低信号、T2 強調像で高信号、拡散強調像で淡い高信号を呈した。腫瘤内部に明らかな脂肪成分は確認できなかった。EOB 造影後では、早期相から著しい濃染が見られ、肝細胞相では不均一な淡い高信号を呈した。画像所見より、FNH like lesion や脂肪の乏しいAML が疑われ、経過観察の方針となった。半年後の造影CT で腫瘤径は7cm 大へと増大したため、肝生検が施行された。肝生検の結果、肝細胞癌の可能性が疑われたため、腹腔鏡下前区域切除が施行され、病理組織学的に高分化型肝細胞癌と最終診断された。本症例は、著しい早期濃染を呈し、半年間で増大傾向を示した肝腫瘤であり、高分化型肝細胞癌として非典型と思われる画像所見・経過を示した。病理組織像と画像所見が、高分化型肝細胞癌として説明出来るのかを検討したい。