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P-45 肝原発腺扁平上皮癌の一例

貝沼 雅彦1,2)、豊田 啓恵1)、高橋 邦彦1)、澁谷 誠1)、和田 慶太1)、三浦 文彦1)、佐野 圭二1)、斉藤 光次3)、近藤 福雄3)、山藤 和夫2)
帝京大学外科学講座1)、さいたま市立病院外科2)、帝京大学病院病理部3)


【症例】72 歳 女性 【現病歴】201X 年12 月当科にて左乳癌に対して左乳腺切除術後ホルモン療法施行しつつ経過観察をしていた際に、7 年後のCT にて膵嚢胞を指摘(後方視的にみるとこのときから肝S1 に微小腫瘍あり)、CA19-9 測定すると434 と高値であったため、MRI など精査するも膵嚢胞に悪性所見なし、しかしCA19-9 は3 か月後に2214 まで上昇したため、4 か月後にFDG-PET 施行、肝S1 に集積を認め、5 か月後にMDCT(CA19-9 2920)、6 か月後にEOB-MRI(CA19-9 5990)を施行し、最終的には肝S1 に径20mm の乏血性腫瘍で肝内胆管癌と診断した。拡大左肝切除(左肝切除+尾状葉切除)+門脈合併切除再建術+領域リンパ節郭清を行ったところ、病理診断は、腺扁平上皮癌(3cm, n1 1/14)であった。【考察】今回の標本ではER に10%前後の腫瘍細胞が陰性〜弱陽性を示した(PgR 陰性、GCDFP-15 陰性)が、細胞質の弱陽性像や、非腫瘍細胞にも弱陽性像がみられた。既往の乳癌はPapillotubular 由来のscirrhous carcinoma で明らかな扁平上皮分化は確認できず、ER 陽性、PgR 境界域GCDFP-15 陽性であるので、乳癌肝転移よりも肝原発腺扁平上皮癌と診断した。肝原発の腺扁平上皮癌は英文論文でも20 数症例しかなくきわめて稀である【質問】1、乳癌肝転移ではなく肝原発腺扁平上皮癌である、という診断でよいでしょうか。2、術式の選択は適切だったでしょうか。