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P-46 肝内胆管癌との鑑別診断に難渋した膀胱癌肝転移の1例

岡崎 充善、田島 秀浩、真智 涼介、蒲田 亮介、大畠 慶直、真橋 宏幸、中沼 伸一、牧野 勇、宮下 知治、伏田 幸夫、太田 哲生
金沢大学 消化器・腫瘍・再生外科学


患者は65 歳男性。腹部検診目的に近医で腹部超音波検査を施行し、S4/5 に4cm 大の腫瘍性病変を指摘され精査加療目的に当科紹介受診した。造影CT で4cm 大のドーナツ状に辺縁のみ濃染する乏血性腫瘍と肝十二指腸間膜内にリンパ節腫大を認めた。血管造影CT でCTAP 血流欠損、CTHA 早期相で辺縁が不均一に濃染、後期相で均一に強く濃染し、中心部はsuper delay でわずかに濃染を認めた。術直前に施行した造影MRI でS2 に7mm 大の乏血性腫瘍も確認された。63 歳時に膀胱癌に対し経尿道的膀胱腫瘍切除術を施行されたが、病理診断は上皮内癌(CIS)であり、その後の定期的な膀胱鏡検査では再発所見は認めなかった。術前診断を肝内胆管癌・肝内転移、リンパ節転移と判断し、拡大左肝切除・胆管切除・リンパ節郭清術を施行した。術中に2 か所の肝腫瘍及び郭清リンパ節を迅速病理検査に提出し、低分化癌の診断となったが、組織型の診断には至らなかった。術後永久標本による病理組織学的検査で、肝内病変は3 か所あり、いずれもCK7、CK20陽性で膀胱癌手術時の病理検査結果を踏まえ、膀胱癌多発肝転移・リンパ節転移の診断となった。術後6 週間後の画像検査で残肝内に多発肝転移を認め、現在当院泌尿器科にて化学療法(GEM+CDDP 療法)を施行中である。深達度がCIS である膀胱癌の遠隔転移は稀であるが、今回肝内胆管癌との鑑別診断に難渋した膀胱癌肝転移の1 例を経験したため、文献的考察を加え報告する。