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P-47 アルコール性肝硬変に合併した多発多血性腫瘤

久野木 康仁、眞島 雄一、稲葉 康記、髙木 優花、吉永 智則、小島原 駿介、石川 睦、有阪 高洋、飯島 誠、入澤 篤志
獨協医科大学 消化器内科


症例は40 代女性。職業は飲食店従業員。既往歴:上部消化管出血(詳細不明)飲酒歴:焼酎ロック3 杯/ 日 喫煙:2 本/ 日。病歴: 201X 年2 月、吐血にて当院に救急搬送された。緊急で行った上部消化管内視鏡検査では出血源は特定されなかった。腹部エコーで肝に多発する腫瘤が指摘され、ダイナミックCT で大小10 個以上、最大3.5cm の多血性多発肝腫瘤であり、肝細胞癌(HCC) が疑われた。腹部血管造影検査(CTAP/CTHA)で、腫瘤は多血性で濃染時間は長く、CTAP ではperfusiondefect を呈するが、CTHA で造影剤注入30 秒後でもenhancement が残りwashout が遅いなどHCC に非典型的であり、肝腫瘍生検を施行した。生検結果は、全体の20-30% に脂肪化がみられ、マロリー小体も観察されたが腫瘍成分は認めず、アルコール性肝硬変による再生結節と診断し、経過観察とした。以後も禁酒できず、初診時はChild-Pugh 分類で7 点/B であったが14点/C まで悪化した。初診時から4 年後(201X+4 年2 月)に母親の死を契機に禁酒し、予備能が徐々に改善するとともに多発肝腫瘤も縮小傾向となった。201X+5 年10 月、肝機能障害が再燃、CT・MRI で左肝内胆管の狭窄およびその中枢側の拡張がみられ、肝内胆管癌を疑い、PET・胆管生検・擦過細胞診、胆汁細胞診を行ったが悪性を示唆する所見はなく、EBD チューブ留置にて経過観察している。討論していただきたい点:①アルコール性再生結節の診断は妥当か②画像と病理所見に矛盾はないか