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P-49 GISTとの鑑別を要したデスモイド型線維腺腫症の一例

武原 悠花子、島田 光生、吉川 幸造、徳永 卓哉、西 正暁、高須 千絵、柏原 秀也、良元 俊昭
徳島大学病院 消化器移植外科


【はじめに】GIST との鑑別を要したデスモイド型線維腺腫症の一例を経験したので報告する。【症例】30 代男性。腹部に腫瘤を自覚し、近医を受診し、右腹腔内に腫瘤が認められ、当科に紹介となった。当科で行ったCT では12 × 8 × 11.5cm の腹部腫瘤が認められ、MRI ではT1WI で低信号、T2WI で高信号、DWI で軽度高信号を示しており、小腸透視では上行結腸の圧排像を認めた。腹部エコーでは内部に流入する拍動性血流シグナルを認め、全体的には乏血性、小腸との連続は指摘できなかった。小腸もしくは上行結腸由来のGIST の診断で手術の方針となる。手術は開腹で回盲部切除を行った。最終病理診断ではデスモイド型線維腺腫症と診断された。現在術後145 日目であるが、再発は認めていない。【考察】腹腔内に腸管外腫瘤を形成するものの鑑別として、GIST、悪性リンパ腫、後腹膜肉腫、平滑筋肉腫、平滑筋腫、神経鞘腫、腸間膜脂肪肉腫などが挙げられる。デスモイド型腫瘍の発生率は人口100 万人あたり年間2.4 〜 4.3 例と非常にまれな疾患であり、中でも腹腔内デスモイドの頻度は8% と報告されており、思春期〜 40 歳代の女性に多いとされる。画像診断ではMRI が有用であり、通常、T1WI で筋肉と比較し低〜等信号、T2WI で不均一な高信号を示すとされる。本症例でも同様の画像所見であった。【結語】GIST との鑑別を要したデスモイド型線維腺腫症の一例を経験した。腹部腫瘤を認めた際には鑑別の一つに入れるべきである。