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P-50 結核性腹膜炎の一例

趙 明浩、阪井 守、清水 香、濱野 美枝
東京城東病院 外科


症例: 70 歳男性. 主訴: 発熱, 腹痛, 腹部膨満感既往症: 脊椎管狭窄症現病歴: 4-5 日前から発熱, 腹痛があり, 腹部膨満感が悪化し来院. 現症: BW56Kg, HT165cm, BP117/83, HR90 reg., BT36.5℃ , Alb: 2.6, AST17,ALT12, LDH145, ALP309,γGTP43, CHE148, BUN22.2, Cre1.00WBC6700, Hb10.1, Ht30.8, Plt346,000, CRP9.5,AFP, CEA, CA19-9 正常値. 画像診断: 腹部造影CT, 腹膜に比較的均一な肥厚があり腹水の貯留を認める. 原発巣と考えられる腫瘍性病変は指摘できず. 右鼠径ヘルニア(一部脂肪織の脱出), 右陰嚢水腫. 胸部CT にて左胸水貯留. 上肺野に粒状影や策状影を認めた. 結核性腹膜炎, 癌性腹膜炎が疑われ, 腹水を穿刺し細胞診を施行. Class2 であった.CA125 360 ↑ , 血清ADA83.8 ↑ , 腹水ADA59.2 ↑ , 腹水培養陰性であった. 腹腔鏡を施行.腹腔内には多量の腹水と無数の白色の腹膜結節を認め, 結節を生検した. 病理結果は乾酪壊死を伴う多数の類上皮細胞肉芽腫を認めた. エランゲルハウス型巨細胞も出現しており, チールネルゼン抗酸菌染色では抗酸菌は確認できなかったが, 結核性腹膜炎と考えられた. 血管専門病院に転院となり現在治療中である. 比較的稀な結核性腹膜炎を経験したので若干の文献的考察を加え報告する.